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ミニマリズム探究①:マルセル・ブロイヤーの家具展:東京国立近代美術館

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本ブログの背骨ともいえるミニマリズムに親和性の高いバウハウスについて、今後何回かに分けて断片的に延べていきたい。いつしかそれぞれの断片が星座のように象られることを期待しつつ…

第一回目はマルセル・ブロイヤーについて。少し前のことではあるが、国立近代美術館で行われているマルセル・ブロイヤーの家具展に行ってきた。

 

www.momat.go.jp

 

このブログはそもそもの出発点としてバウハウスやポストパンク、ミニマリズムを源泉として、それらの思想的繋留を探求することを主軸としており、結果的に服装など右往左往していますが、基本的な軸としてのバウハウスをここでまた探究し、洗い出していきたい。

 

ブロイヤーの家具はアフリカ的な民族意匠をモチーフにした椅子からスタートしている。ハンドメイド感満載。そこから一気にプロダクトデザインへ舵を切るのだが、ブロイヤーの最終的な家具のデザインとは、「無」だった。つまり空気椅子の状態で座ることのできる椅子をブロイヤーは夢想していたのだった。ミニマリズムや機能主義の徹底は、「無」なのかもしれない…そんなブロイヤーの代名詞ともいえるのが一番上の画像のワシリーチェア。実際にバウハウスは大量生産が可能な工業デザインを志向していたので、このワシリーチェアも何段階かのバージョンアップを経てはいるものの、基本的に組み立てにかなり複雑な職人的手作業を要求しないものである…が、実際の工作風景を映した動画があったのだが見た目と裏腹にかなり難しそうだった。

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「家具デザイン」からブロイヤーは後期で建築設計・デザインを主に手がけるようになる。バウハウスは総合芸術の最終的な統合として「建築」を称揚する運動であったため、ブロイヤーのこの転向もひとつのながれの自然な帰結だったのかもしれない。多かれ少なかれ、彼の建築した空間は「余白」を感じさせるものであり、安易ではあるが彼の手掛けた椅子や家具のようなミニマリズムを感じ取ることができた。

四角く区切られた空間に埋められる夾雑物のような物を出来るだけ削ぎ落として生まれるソリッドな空間は時に無機的と揶揄されうるが、その無駄のない空間がもたらす均衡と採光と形式の美と調和、そして鍛えられあげた空間自体の設計には静かに心を動かすものがある。