get ready(30代男の物欲と服ログ)

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「俺たちの国芳 わたしの国貞」@渋谷Bunkamura

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渋谷Bunkamuraで『俺たちの国芳、わたしの国貞』を見てきた。江戸時代の浮世絵を代表し、歌川一門としてしのぎを削っていたふたり。国芳は男性的な筆致で濃密。国貞は女性的な筆致で繊細。国芳は無類の猫好きだったらしく猫をモチーフにしたスカルの衣装を着せた男を描いている。スカル、昔も今も変わらずファッションアイコンとして描かれている。今だったらクロムハーツ。国芳は武者物といって平将門とか武将を描いたりもしているのですが、そのデザインがとてもクールでかっこいい。幾何学的で「昔の絵」には思えない迫力がありました。画の構図が漫画的で、浮世絵の延長上に漫画があるような。あるいは国貞の描く女性。手紙を書いてお化粧をして...今だったらLINEとシャネル? LINEもFacebookもない江戸時代の急がず焦らずのまったり生活。国芳の描く色男や歌舞伎役者の絵はきっと今でいう嵐のブロマイドやグラビア。きっとカードゲーム的な文化って日本の遺伝的なもので花札もそうだけどビックリマンチョコなんか国芳=国貞を感じる。

いとうせいこうさんが以前ライムスターの宇多丸さんと対談していて、ヒップホップの魅力を「印籠」に見出していた。ヒップホップにはサンプリングの文化があり、キッズが「ヒップ」だと思うメロディーを引用する。印籠は本体と根付の2種類に分けられるが、その二つの異なる要素で、ひとつの別の実体を描いていくという。その視点でとらえると歌舞伎だってヒップホップではないか。歌舞伎とは本来的に大衆的なもの=ストリートのものだ。傾く(かぶく)クルーが生み出すヴァイブスだ、と言ってみることもできる。だからきっとコクーン歌舞伎で串田和美監督は『佐倉義民傳』にて中村勘三郎にラップをさせたのだろう(いとうせいこう作詞)。

今現在、テレビ朝日「フリースタイルダンジョン」の影響もありJヒップホップシーンが盛り上がりを見せている。歌舞伎もフリースタイル感があるし、国芳と国貞の絵にもどこかフリースタイルを感じた。クールで自分たちがかっこいいというものを表現している限りにおいて、決して江戸と平成のカルチャーは隔絶したものではなく、確実に地続きで繋留している。

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鬼若丸の鯉退治 弘化2年(1845)頃 大判三枚続

でっかい鯉を捕まえろ!って言わんばかりの緊迫感と躍動感とクールなデザイン。あと何気に人物像がみんな可愛いらしいところもポイント。