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ファッション/アウトドア/音楽/ミニマリズムなど

裏原系とは何だったのか

ベーシックやシンプルやスタンダードって喧伝しまくるファッション雑誌の風潮もここ2年以上続いてる気が。そろそろモードやデザインからキックバックが来て良い頃だと思い半年。でもスエットパンツが細身になったりまだまだポパイ的なものの影響は続いてる。ニューバランスがスタンスミスに変わったくらい。もうそれも終わりかも?
 
2000年初頭に隆盛した裏原カルチャー。エイプのサルTシャツが流行った。当時15歳の私はシュプリームを着ている窪塚洋介が表紙のストリートジャックを買い隅から隅まで読み漁り、巻末ページの胡散臭い裏原ブランドのパチモン通販を眺めていた。何故かっこいいと思ったんだろう。今でさえエイプTシャツ着用してるひとを見つけるのは難しものの、当時はオシャレの先端をいってるアイコンだった。今見ると、ダサい。リーコン、ヘクティク、エレクトリックコテージ、バル、ウィズ、サイラス、ドゥアラット、サタンアルバイト、リバース、デビロック、、、雨後の筍の如く群生した裏原ブランド。山手線ゲームができそう。一世を風靡したそれらは風前の灯火、というかもう消えてしまった? ナンバーナインも終わり、残ってるのはアンダーカバーくらいか。
 
一方でシュプリームはあの魔力が込められたボックスロゴを立て続けに出し続けている。いまだに即日完売。当時裏原全盛期の頃もボックスロゴの模造品は作るのが簡単だし、巷に溢れかえった。しかしエイプとは違いシュプリームは今も生き延びている。それどころか近年また人気再燃しているではないか。この両者の袂を分かつものは何か?   そんなことをぼんやり考えていた。 
ルイヴィトンのモノグラムとシュプリームのボックスロゴはもはや同等かもしれない、などと。沢北と流川かもしれない、と。
 
ここ数年のベーシック、スタンダードブームの立役者であるノームコア、ミニマリストの流行によって無地Tシャツが圧倒的に増え、同時期にパックT、ポケTなど出すブランドが増えた。無地Tシャツは主張しないことを主張する。ピコやバッドボーイやT&Cの陰陽模様からエイプに至る「ゴチャゴチャ系」とは対置される。意味もわからずスーパーで買ったDJホンダのキャップを被るおじさんも一応無地ではない限り謎の主張している。
Tシャツはある意味下着だ。アラサーになるにつれシャツの着用率が高くなり、インナーは無地Tシャツにならざるを得ない。というかそうでないと落ち着かない。
 
シュプリームのボックスロゴの発明はあの長方形の面積で最大限の慎みを持ちつつ主張してくるところだ。
その主張様式はラルフローレンやラコステ、キツネに至るまでの胸ロゴに近い。(キツネは確実にラルフローレン的なものを目指している)おれシュプリーム着てるぜ感、とおれエイプ着てるぜ感は違う。シュプリームは最もハイセンスなストリート系だということは歴史が表している。アーペーセー、アンダーカバーなどとのコラボ、毎回のアーティスト写真シリーズ。すべての要素がキッズを刺激してやまない。
 
そしてシュプリームから出たヘインズのパックTシャツ。左下に小さなボックスロゴ。そのロゴがあるだけで人はヘインズのオリジナルではなくシュプリームのヘインズを、買う。野村訓市氏はヘインズのTシャツを100枚以上持っているらしい。ヘインズのTシャツは薄いし一枚で着るには心許ないので私は着ないが、男のTシャツで辿り着くひとつではある。
 
一方でプラダもマルジェラもパックTシャツを発売している。ギャルソンもジルサンダーも無地Tシャツを発売している。プラダとマルジェラはそれぞれアイコニックな逆三角と4箇所の縫い目。それだけが主張する。ロゴはない。わかる人にはわかる。1枚1万円以上はするが、それが良いとひとは思う。
いわゆる究極のベーシック。慎み深い差別化を図ろうとすると、自然にブランドロゴは不要になってくる。その代わりの「わかるひとにはわかる」「知る人ぞ知る」アイコンが必要になってくる。エヌハリのタグ。ディオールオムのダーツ。ソロイストの刺繍、バンドのシャツの背中…最終的にそれもいらなくね?となり、結局一巡してシンプルなものへ回帰する。でもそれだけじゃ面白くないということでシュプリームのボックスロゴは要請されているような気もする。あとちなみにマルジェラのエイズTシャツは後続したしまむらで売ってそうな英字だらけVネックのパクリも含めてもはやカッコいいかどうかも不明だなと思ってしまうところがあり、まだ4本刺繍のほうがいいけど、それでもマルジェラ感は拭い去れないわけで、そこに魔力があると思う。
 
Tシャツから離れてファッションを思うと、ストリートとモードの間のような、マルジェラの空気感を持った人たちが日本では勢いがある。サンシー、アンユーズドを筆頭にブフト、オーギュストプレゼンテーション、ディガウェル、エンダースキーマ、オーラリー、ヤエカ、アレッジなどなどライフスタイル系を匂わす感じから、サカイ、カラー、ソロイストなどの優れたモードまで。ドメスティックはいろんな振り幅があって多元化しているのが面白い。その分、選ぶことも楽しい反面、難しいと思う。
 
服のバックグラウンドを重要視するのが男だと思う。よくジーパンに見られる縫製だったり年代だったりする「こだわり」。それ以外にも服が匂わせる「カルチャー」。文学や音楽や映画からインスパイアされた服。ドリスヴァンノッテンやアンダーカバー、サリバンやラッドミュージシャン。今は亡きナンバーナイン。そういう音楽や文学や映画などのカルチャーが見え隠れする服。あるいはジルサンダーやプラダなどのストイックでミニマルな服。いずれにせよ色んな要素が服にも込められている。私はおしゃれでもないのでそこまで語る資格はないけれど、それらの服の参照先を想像するだけでも面白い。あるいはブランドによって「クセ」があらわれてくる特徴を比較してみたり。
結局何が言いたいのかわからなくなってしまいましたが、裏原みたいな熱狂的な洋服ブームってここ数年ないよなあ、と。ポパイ男子=シティボーイくらいかな。でももう静まっている気が。ビッグウェーブに乗るしかないと思いきやシティボーイには手が付けられなかった私です。。おそらく来ないと思うけど「ニューウェーブ系男子」「ポストパンク系男子」というのなら、喜んで邁進するのですが。