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ファッション/アウトドア/音楽/ミニマリズムなど

レディオヘッドの感想@サマソニ東京2016

無論、知らない曲があることは許されない…好きなことを適当に書くこのブログで未だにレディオヘッドが出てこなかったのは好きすぎるからかもしれない。もうレディオヘッドを書くこと自体に今更感があるからか。手垢にまみれているからか。レディオヘッドはおそらく世界のロックバンドで最高峰に君臨するバンドだろう。感想やレビューのような立派なものは書けないが、その前にレディオヘッドについて思うところを書いてみたい。ちなみにレディへと訳すのは好きではない。アジカンは良いのだがレディオヘッドは安易に訳したくは無い。

私とレディオヘッドの出会いは2003年、高校一年の時だった。ツタヤで借りたOKコンピューター、難解でわかりにくかった。しかし、次第に聞いていくうちにその世界の深みへと吸い込まれてしまった。夜寝る時はMDに入れた「KID A」をアジカンの「君繋ファイブエム」「ソルファ」と同様に聞いていた。高校の頃の良い思い出だ。

待望の2008年来日の際に見たレディオヘッドは、「In Rainbows」を中心とした堅実なセットリストと舞台装置で楽しませてくれた。

そして2016年サマーソニック。出番まで、私は正直そこまでの高揚感を抱けずにいた。今年リリースの「A MOON SHAPED POOL」。初めて聞いたときはあまりにもチルい音像に眠くなってしまった。同時期に出たJames Blakeの新譜と音が類似していることもあり、なんだかパッとしないなあと思っていた。

でも最後のTrue love waitsを聞いたとき、違和感なく過去の楽曲が最新のものとして溶け込んでいるさまに気づいた。そのとき感じた。「レディオヘッドは一巡したんじゃないか」と。きっと今ならCreepですら演奏するのではないかと。

結果論になってしまうがレディオヘッドは結局Creepを最近演奏するようになったのであり、ずっと演っていなかったLet Downまで披露している。ゆらゆら帝国がかつて到達点として提示した「空洞です」という空洞感。そして空洞の外郭すらも取り払われ、解脱したような感覚すら今のレディオヘッドには覚えてしまう。

トムヨークはとても最先端の音楽に敏感なひとで、当時流行ってる音楽をすぐ取り入れようとする。「OKコンピューター」のときはブリストルサウンドートリップホップの影を色濃く残していたし、「KID A」はオウテカやエイフェックスツインなどのIDMを独自に解釈していた。「The King of Limbs」あたりからポストダブステップにも接近し、ソロアルバムやAtoms for Peaceでは身体的な打ち込みサウンドが顕著だった。実際昨年のトムヨーク来日(ホステスクラブ・オールナイター)もソロやAFPの延長線上に位置するもので、硬質なビートの上でのトムヨークのファルセットという定番が心地よかった(ちなみにこのイベントのベストアクトはJon Hopkinsだった)。

今やレディオヘッドにおいて過去の楽曲も現在の楽曲も等価だ。そこに差異はない。ちなみにここ最近のライブのセットリストは以下の通り

 

7月27日(マディソン・スクエア・ガーデン公演)
1. Burn the Witch
2. Daydreaming
3. Decks Dark
4. Desert Island Disk
5. Ful Stop
6. My Iron Lung
7. Climbing Up the Walls
8. Morning Mr. Magpie
9. Pyramid Song
10. Bloom
11. Identikit
12. The Numbers
13. The Gloaming
14. Weird Fishes/Arpeggi
15. Everything in Its Right Place
16. Idioteque
17. There There
(Encore)
18. Give Up the Ghost
19. Let Down
20. Present Tense
21. Planet Telex
22. Karma Police
(Encore2)
Reckoner
Creep

7月29日(ロラパルーザ)
1. Burn the Witch
2. Daydreaming
3. Ful Stop
4. 2 + 2 = 5
5. Myxomatosis
6. My Iron Lung
7. Climbing Up the Walls
8. No Surprises
9. Pyramid Song
10. Bloom
11. Identikit
12. The Numbers
13. The Gloaming
14. Weird Fishes/Arpeggi
15. Everything in Its Right Place
16. Idioteque
17. There There
(Encore)
18. Let Down
19. Present Tense
20. Paranoid Android
21. Nude
22. Bodysnatchers
(Encore 2)
23. Street Spirit (Fade Out)
24. Karma Police

 

やはりCreepもLet Downも入っている。個人的にとても大好きなPlanet Telexも入っている。High&Dryはやらないのか。まあいい。Street SpiritからKarma Policeの〆なんか最高じゃないか。レディオヘッドぽい。そんなこんな期待を膨らませて、いよいよ本番を迎えるのだった...

15分遅れで始まったレディオヘッドはまず新譜から攻める。安定。ジョニーのギターもコリンもエドもフィルも安定。トムヨークのバンドではない。全てが有機的に絡み合っている。ジョニーのギターに目を奪われがちだが、マルチにこなすエドとフィルの近くで堅実にグルーヴを支えるコリンのベースに目が行く。無論、フィルのドラムも尋常じゃない。安定感が違いすぎる。老獪ともいえるサウンドの熟達さに安心して身を委ねる。ギターは3本でなくてはならない。トム、ジョニー、エドの3本でなくてはレディオヘッドの音の深度へと到達することは難しい。

やはり予想していた通り、すべてのアルバムから少し挟んでくるものの、全体としての音像は全て等価なものとして提示されていた。特に思い入れの強いOKコンピューター、KID A、ヘイルあたりの曲は盛り上がった。Airbag,2+2=5,everything…レディオヘッドはやっぱ1曲目なんだよなあ…

アンコールでは噂に聞いていたレットダウン…ノーサプライゼスも来ていたのでここでレットダウンは意表を突かれた。おそらく高校の時にレットダウンの美しさに泣いた記憶がある。でもトムヨークはレットダウンがポップだからという理由でクリープ同様長らく演奏していないのだという経緯も知っていた。そういった強がりが、外殻がすべて砕け散った瞬間だった。余計な力はなく、昔のような、まんま憂鬱で悲痛さを表わすレディオヘッドの姿はない。

そしてやはりクリープは演奏した。2003年サマソニの伝説以来、この時のためにチケットを購入した方も多かったんだと思う。

初めて聞くクリープはセットリストにも馴染んでいたし、クリープだけで終わらない。最後はストリートスピリット。ベンズ大好きな私としては最後の最後でベンズの曲が来たので非常に嬉しかった。

どの曲にも、いずれかの時代の自分の思い出や記憶が寄生している。だから、聞く曲、聞く曲、いろんな思い出がフラッシュバックしてくる。もう14年聞き続けている唯一のバンドなのだ。その思い出が現在によみがえり通り過ぎていく感覚と同時にレディオヘッドを味わう。

トムがブツブツ意味不明なことをいったりしてたのが気がかりではあるのだけど、成熟したレディオヘッドを見れて本当に満足な2時間、フルセットだった。これだけですべての元は取れたと言っていい。レディオヘッドよ、また単独で来てください…!

 

サマソニ東京セットリスト(カッコ内はアルバム)

01.Burn The Witch (MSP)
02.Daydreaming(MSP)
03.Decks Dark(MSP)
04.Desert Island Disk(MSP)
05.Ful Stop(MSP)
06.2+2=5(HTTT)
07.Airbag(OK)
08.Reckoner(IR)
09.No Surprises(OK)
10.Bloom(KOL)

11.Identikit(MSP)
12.The Numbers(MSP)
13.The Gloaming(HTTT)
14.The National Anthem(KIDA)
15.Lotus Flower(KOL)
16.Everything in its Right Place(KIDA)
17.Idioteque(KIDA)
===
18. Let Down(OK)
19. Present Tense(MSP)
20. Nude(IR)
21. Creep(PH)
22. Bodysnatchers(IR)
23. Street Spirit(BS)

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今回サマソニのセットリストのアルバム別集計

パブロハニー1曲

ベンズ   1曲

OKコン    3曲

KIDA    3曲

ヘイル   2曲

レインボー 3曲

リムズ   2曲

プール   8曲

素晴らしい万遍のなさ。じゅんぐりやってくれました。もしかしたら一番最高のセットリストだったのかもしれませんね。