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KICK THE CAN CREW復活祭2017/9/7@武道館

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おそらく若くして才覚を表すアーティストには何か共通項がある。ひとつは批評家・大物に好かれることが要因として挙げられるだろう。「才能を見出された」者は「大人」にもてはやされて売れる場合が多い。が、その「才能」は「評価」「ラべリング」ではなくその人自身に胚胎しているものである。

私は若くないが、もし「売れよう」と本気で思っている若者がいるとすれば、若くから売れたアーティストのインタビューや自叙伝などを漁ってみるのも戦略的かもしれない。とても戦略的・打算的かもしれないが。なぜセックスピストルズやビートルズやくるりや奥山由之が売れたのか。そこに何かしらヒントがあるかもしれない。

キックザカンクルーは若くして(とはいえ20代後半で)ブレイクし、一躍日本語ヒップホップの頂点を極めた存在だ。その証左としてKREVAはB-BOY PARKのフリースタイル3連覇をし、「マルシェ」で彼らは紅白にも出場した。14年ぶりの復活に向けて、今年発表された復帰曲「千%」は、まさに彼らの今までの歴史や物語が濃縮された渾身の一撃だった。KREVAがインタビューにおいて「もう「マルシェ」みたいな売れ線じゃなくて、自分たちのペースで自分たちの好きなようにやっていく」と話していて安心した。

キックの勝因はヒップホップを誰もが聴ける音楽へと推し進めた点に尽きる。パーティーチューン、でもワルガキだけに響く曲じゃない。老若男女に対応できるヒップホップ。しかもモノホンプレイヤー。最近でさえ、そういうヒップホップクルーって出てきてないんじゃないか。

実際キックザカンクルーのライブを初めて生で見たのだが、音源では感じることのできない三人の掛け合い、息遣い、いわばグルーヴとバイブスが見事だった。他にいとうせいこう、ライムスター、こうだくみ、藤井隆も出演して「復活祭」を祝っていたが、実際キックの曲をもっと聞きたいファンが多数だったと思う。

ここまで9000人の観客を集められるキックの功績にはやはりKREVAがひとりヒップホップの第一線でメジャーシーンで活躍していたからこそだと思う。そしてキックはKREVAが主役じゃない。三位一体、それぞれの良さをそれぞれが最大限に引き出していた。ぜひまたじっくりと彼らの掛け合いとグルーヴを味わいたいと思う。

 

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