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村上春樹の読み方ー『騎士団長殺し』の前に

 

 

村上春樹の新刊『騎士団長殺し』が発売されました。実は昨日の発売日に購入し、仕事が終わり次第家にこもって1部は読了しました。しかし今回はあらすじや感想は次回に譲ります。最近の長編では『色彩を持たない多崎つくる』、2冊というボリュームでは『1Q84』以来となります。私は一年を通して村上春樹を再読する試みを続けていますが、『1Q84』を久々に再読して、アラサーになった私は天吾と青豆の年齢に重なったこともあり、以前より面白く読めた気がします。村上春樹の読み方は色々あると思いますが私が共感できる点は恐らく

 

アラサー、都会に住む独身男性

 

という点に尽きます。それだけで自分の生活と密接にリンクしうる物語として享受することが出来ている。村上春樹好きを公言するのは憚れるし、ハルキストという揶揄にも取れる表現を自称することは差し控えたいと思っていますが、私が村上春樹を読むときは、「ガチ」で読んでおらず、ちょっと客観的というか「春樹かわいいな」的な、村上春樹の主人公特有の、昼からビールを飲んだりサンドイッチを有り合わせで作ったりウィスキーを飲みながらジャズを聴いたり、バーで出会った女の子とそのまま出来上がってしまったり、ソファーの硬さについて論じたり...と物語に関係のないと思われる細かくてくどい文章が大好きなのです。レイモンド・チャンドラー譲りのくどさというか仔細さ。そこを読んでにやにやする喜びが凄いし、比喩も初期のころと比べると最近は透徹した修飾をするから何回か読まないと比喩もよくわからない。圧倒的にくどくなってきています。

だいたい長編は3,4周してしまっているので、大好きな『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』は二つの物語が進行しますが、逆に好きな話である「ハードボイルドワンダーランド」だけ読むという新しい試みをしています。これは今までの読み方とちょっと違うので、好きなものを好きなだけ読めるという喜びがあります。

村上春樹の主人公はほぼ一貫して、音楽に造詣が深くー最近はロックやジャズからクラシックを聴く主人公が増えましたー、身体を鍛え、規則正しい生活をし、料理が上手く、簡単にいうとスカしています。スカし倒しています。しかし孤独を望んでいても可愛い美少女や余裕を持った妻帯者、自立した女性などスカし野郎を別世界に導くような巫女的な存在がいたるところに現れます。おそらく『騎士団長殺し』にも同じモチーフが現れるかもしれません。村上春樹は「文化的雪かき」のマスターだし、それに私は高校の頃から傾倒してしまい、いまだ抜け出せていないイタい読者のひとりであることは疑いようがありません。某カフェでノーベル賞の結果に憂えることは恥ずかしくてできませんが、周囲の友人と春樹についてああだこうだ話すのはとても好きです。

飽きることなく色々な発見が出来る春樹の小説。『騎士団長殺し』はどのような世界観を提示してくれるのか楽しみです。