get ready(30代男の物欲と服ログ)

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冷めないファッション熱の熱源はどこだ?

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 定期購読しているゼムマガジンのブログ、いつも興味深く読んでいるのですが以下の記事を読みながら思ったことを。

BLOG - Them magazine

 

マークやフッドバイエアの衰退の源泉にはノームコアが人口に膾炙したからではないかという話。ノームコアが槍玉に上がっています。ここではモードー豪奢で力強く、エッジの効いたファッションーがノームコアと対置されてます。資本主義の最終形態ともいえるファストファッションの波及が生み出したのは匿名性の高い服であり、その当事者がユニクロでしょう。今やユニクロだけでオシャレは可能であると喧伝する本は溢れかえり、洋服とはユニクロのことである、と言わんばかりにユニクロがクローゼットに置いてあるのは当然のことであるかのように享受しています。

セレオリで1万するパーカーとユニクロの3,000円のパーカーのクオリティは等価であり、逆にユニクロ帝国主義、ユニクロだけで全てが完結してしまうという思想に帰着しますし、その背景にはノームコアの隆盛があるのでしょう。

ミケーレのグッチやデムナのヴェトモンなどのモードの先端は、まさにアンチノームコアでしょう。

ここでの私の考え方は、リベラリスト的です。すなわちノームコアもモードも等価に扱いたい。ジルサンダーやルメールというミニマル主義者がユニクロ帝国と手を結び、階層を越境するファッションを提供するいま、ファッションのヒエラルキーは反転し、モードの最先端をヒエラルキー最下層のミケーレやデムナを知らないキッズが無意識にH&Mで袖に赤いロゴの入った黒いパーカーやキッチュな刺繍のスカジャンを手に取る構造になっている。ポストモダンのシミュラークル、という懐かしい横文字が頭をよぎりましたが、ポストモダンという死語では描ききれないこのファッションの趨勢…

時にモードの川の流れは強く早くてファッションに疲弊しまうこともあります。それでもファッションが好きなのは楽しいから。来てよし、見てよし。

そしてゼムマガジンのブログにもあるように、「かっこつけたい」「かっこよくなりたい」という欲望がファッションの興味への源泉に他ならない。スピッツは「醒めない」でこう歌う。

 

カリスマの服真似た

忘れてしまいたい青い日々

でもね復活しようぜ

恥じらい燃やしてく

 

良い歌詞じゃないですか。僕もピストルズを、ニルヴァーナを真似た忘れてしまいたい青い日々を思い出しました。でも、あの時のファッションへのドキドキ感やカリスマへの憧れをあえて肯定したい。しなくてはいけない。なぜならデザイナーだってみんなカリスマへの憧れで服を作ってるのだから。川久保玲も高橋盾もピストルズを聴き、アンドゥムルメステールもパティスミスを聴き、ラフシモンズもジョイディビジョンを聴き、エディスリマンもボウイを聴き、それに触発されて服を作り始めたのだから。だから僕も彼らの服が好きだし、その奥にある音楽が大好きだし、すべてのカルチャーは分かちがたく結びついています。

ノームコアが「かっこつけること」への否定であるとすれば、とてもネガティブな思想にうつってしまう。私はノームコアがすきなので否定もしないし、それをかっこいいと思うけど、「かっこつけてる」「スカしてる」「キメすぎ」っていうことへの恥じらいもあることは間違いない。でもその「恥じらい」燃やしてカッコつけて何が悪いとも思う。でないとファッションはほんとうベーシックなユニクロ的なものしか残らず、これから作る意味を失ってしまう。かっこいいファッションが私は好きだし、結局エディスリマンだってラフシモンズだってジルだってドリスだって、私たちを魅了する服はかっこいいに決まっている。気張って行こうぜ、滾っていこうぜ、と。

最初ガーンとなったあのメロディーに今も温められてる。と今歌う草野マサムネさんに励まされました。

 

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