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ジャコメッティ展@国立新美術館

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ジャコメッティ展に行ってきました。

オルセー展やルノワール展などに比べるとおばさん率が低く玄人目な印象。

ジャコメッティの彫刻は細長い。ミニマル。彼は自分の目に映る対象を

忠実に表現することに終りまで固執していた。

草間弥生が幻覚で水玉が見えてしまい、水玉を書かないと死んでしまう

ようなものではない。彫刻は当然だが、平滑な絵画空間とは異なり

美術館そのものの見せ方ー照明=ライティングーもかなり重要である。

ジャコメッティの彫刻はモデルへの長時間拘束を要求したので、結局作品化

されているのは彼の近しい人ばかりだったという。

矢内原伊作、サルトル、バタイユも携わっていた雑誌『ドキュマン』、セザンヌへの私淑、、、ジャコメッティはシュルレアリスムや詩的な文脈でも語られておりその射程は彫刻自体を越境している。

 

真夏になったのかわからない酷暑の乃木坂で、暗く冷房の効いた空間で、ジャコメッティの彫刻と対峙する。とても細長くて、ポッキーみたいだなどという小学生の感想を持ってしまう。ジャコメッティに付着する解釈の殻は分厚い。だからこそ純粋にジャコメッティを観たいな、とも思ってしまう。

一目でわかるその姿は、私にはアウシュヴィッツで飢餓状態にある、アガンベンが言う「ムゼルマン」を彷彿させる。骨と皮、表情のなさーそもそもジャコメッティは顔貌性が希薄だと思うー、空虚さ。自分の殻も作らず、否定も肯定もせず、ただそこにある彫刻を私はぼーっと見ていた。メッセージ性など拘らない方が面白いな、と思うような作品でした。逆にバックグラウンドに拘らないで見ることも良いことですね。