get ready(服と山道具)

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オシャレ登山者の5つの段階・UL登山の服について

 

以前、UL登山にこだわり過ぎて疲れた話を書きました。

makkikka.hatenablog.com

 そこで私は、UL(ウルトラライト)ブームの立役者とも言える偉大なる「山と道」の隆盛によって、逆説的にULファッションの均質化、メジャー化が推進されてしまった過程について書きました。自分も同じ穴の狢です。

UL好きな私にとってこれは良い徴候でもあると思うのですが、やや違和感も。

ULブランドの隆盛は、アウトドアブランドという「ブランドロゴという記号を前面に押し出す」という文脈において、「記号の廃止」を打ち出した点において価値がありました

あるいはそれを「アンダーグラウンドにおけるDIY」という、パンクマインドとして捉え直すことも可能かもしれません。メジャーミュージックとインディーズミュージックの違いといっても良いでしょう。

ULにおけるDIYを、MYOG(make your own gear)と言います。ULマインドにはこのDIY精神が根底にあって、そこがすごく魅力的です。石川直樹氏のいう「自らの装備を知識に置き換えていく」ことの実績のひとつであるような気がします。

 

 

しかし、ULファッションにおける「記号の廃止」というアンチテーゼすらも、アンチテーゼの対象となるのではないでしょうか。(現代思想における「「脱構築」すらも脱構築しうる」みたいな議論のように)

正直、もはや山や登山とは遠く離れた、記号と文化の話になっています笑 

しかし今まで私は数年に渡ってULとそれ以外のファッション、山でのファッションに拘泥してきました。このブログ自体、その私の思考の変遷と言っても過言ではありません。

山ガールについても4年前に書いたことがあります。(時代を経て今やインスタで見るおしゃれな山ガールは従来とは異なり、山と道やRowlow Mountain Works、Teton Brosなどを着ています。)

 

さて、通常、ファッション=「おしゃれ」とは「ダサい」のアンチテーゼとして定位されるでしょう。

ファッションとは往々にして感覚的なものなので、「オシャレ」や「ダサい」も主観的なものに過ぎません。

しかしここでは「ダサい」=「情報過多=デザイン過多、色の多様、ロゴの多様」と定義してみましょう。すると、誤解を恐れず言えば、多くのアウトドアブランドは、「ダサい」範囲に含まれます。色が多く、情報が多い服装はまとまりがなく、ダサくなりがちです。

コスパ最強のモンベルはロゴを絶対つけるし、色も絶妙に残念です。シルエットも悪くはないのですが、ファッショナブルではありません(とはいえ私も何着も愛用しているのですが)。

それも当然、「登山」という行為に特化している服のため、そこまでファッション 性に特化する必要もないのです。

では、それと反対の「オシャレ」な登山服とは何でしょうか?

それは「山と道」の服を見れば一目瞭然です。「山と道」はデザインを極力削ぎ落とし、色も中間色を使い、ロゴをあからさまに押し出しません(ただし、円形のロゴがあり、それがアイコニックになり過ぎてしまっているきらいは現在あります)。

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https://www.yamatomichi.com/products/34719/

これが悪いとは決して思いません。むしろ素晴らしい。「山と道」の発明は、この「記号の廃止=ブランドの匿名化」にあったと個人的には思います。

このシャツには首部分にプリントのタグがあるだけで、服の表側にタグなど見当たりません。色も絶妙な中間色で、既存のアウトドアブランドではなし得なかった色使いで街着で着ても違和感のない作りです。他のアウトドアブランドは、このシャツにも必ずロゴを入れようとするのです。

※ただ細かいことを言えば、このULシャツはパーテックスという極薄の化学繊維で作られているので、紙のようにペラペラです。なので折りたたんだ皺が異常につきます。あと、摩擦に弱く、すぐ擦れてしまい化学繊維のダマが出来、ほつれも生じます。非常に脆い服です。

ULは軽いという上位概念と引き換えに、何かを犠牲にしているトレードオフの関係が常にあるので仕方ないのですが。

 

さて、ここまでのまとめですが、私は登山におけるオシャレの準拠集団を概ね5つの段階に分けてみました。山と道などのガレージUL登山ブランドに到達する人々の思考の変遷は概ね以下④の階層に該当すると考えられます。

 

①「登山服とかめんどくせー、ユニクロとか私服でいいやん」

②「とりあえず登山服を買おう。コスパの良いモンベル。ミレーもカリマーもコロンビアもマーモットもいいな。」

③「色々みたけどアークとかパタゴニアだよね結局」(結構ノースやマムートもいる)

④「メジャーなアウトドアブランドで固めるのも飽きたし他と被りたくないからガレージブランドっしょ。Teton Brosのツルギライトジャケットに山と道のMINIとかハイパーライトマウンテギアのバックパックに山と道の5ポケットパンツ、靴はアルトラのローンピーク!」

⑤もうそういうのも色々疲れたので自分の好きな服で好きなように登るよ。山と道の服もザックも多すぎ。二万人くらいいるもん。重さとか二の次。

 

という変遷です。完全に私の偏見です。そして④に没入して飽きてしまった人もいるのではないでしょうか? その段階が⑤であり、⑤の態度を徹底化していくと、なんと①の態度へ反転していくのです。つまりこの階層構造は、メビウスの輪のような循環関係にあるともいえます。

何度も言いますが、私は兼ねてから日常の延長線上の登山と行ってきましたが、結局そこに今は戻っています。ギアはULで良いのですが、服は好きな服を着たいかなあと。

山用ではなく、日常用を山用として使いたい。その欲求がどうしても消えないのです。だからCOMOLIのウールTシャツも登山で着てみたい。

そんなこんなで長文になってしまいましたが、山と道などULブランドの服やバックパックで山は溢れかえっている気もするので、せめて服くらいは周りと被らないようなスーパーオリジナル(kick the can crew)を作り出していきたいなと思います。

例えば友人は汗かいてもコットンのTシャツで登ったり、スラックスで登ったり、はたまたバレンシアガのスニーカーで登ってたりしています。おじさんや石井スポーツやモンベルの店員がよく言うような権威的にもみえる山での常識(化繊!動きやすい!)などを一旦留保して、自分らしい登山ができれば楽しいだろうなと思います。ULも保守的な登山信仰のアンチテーゼだと思ってます、個人的に。

 

※とはいえULは私にとっては必要不可欠な要素であることに変わりはなく、、、

この本たちはとても参考になりました。