(服と)出逢えたことから全てが始まった
(酷使で)傷つけちゃう日もあるけれども
(服と)一緒に居たいとそう思えることが
未だ知らない明日(物欲)へと繋がってゆくよ
このニットをいつ買っただろうか、と思い出すことは、AURALEEが南青山に旗艦店を初出店した時期と重なります。それは2017年9月のこと。
2015年春夏からスタートしたAURALEEが、その2年後に店舗を持つとは異例のスピードだったと思います。僕もその開店よりも前に、エディフィスでカットソーを買ったりしていて、デザイナー岩井さんがファルメランジェ出身ということもあり「カットソーブランド」くらいの認識でした。
旗艦店を持つ矜持なのか、2017年秋冬はそれまでのAURALEEとは気合いとギアの入り方が違いました。
ガンクラブやグレンチェックのトラッドな生地にモダンなカッティングのコート、ブルゾン。ややゆとりのあるシルエットと、明るくても着やすいカラーパレット。同時代を牽引しているCOMOLIが隠であるなら、AURALEEは陽の要素が強く、合わせやすい。このシーズンはまさにAURALEEのアイデンティティを確立したシーズンと言えるでしょう。
そんなAURALEEですが、2017年本店開店でご祝儀買いしたのがこのリブニット。2017年当時はアンデルセンアンデルセンが少し人気になっていて、僕もメルカリでリブニット買ったのですがチクチクして重くて断念、すぐに手放す羽目に。しかしリブニットは好きで、なんとか良いものが欲しかった。その時にAURALEEのリブニットを見つけたのです。当時はまだ黒ばかり着ていてベージュやブラウンのカラーパレットはワードローブに皆無だったのですが、このなんとも言えないベージュブラウンを買ったのでした。
あれから6年。今でも秋冬は何気なく手にとってしまうのは、その作りの丁寧さに他なりません。
リブニットのいいところは、第一に肉感があり、厚みがあることでリブの凹凸に陰影ができ、一枚で着てもそれだけで奥行きが出てくること。
第二にギュンギュンに詰めてウールを圧縮してるので、全くチクチクしないこと。なんなら裸の上に着てもいい。この編み込みが緩くならないのは驚きです。これに類する他のリブニットも見るのだけど、このレベルのギュンギュン編みをしているニットは類を見ないです。
これ、当時はスタンダードとビッグシルエットという2つのシルエットがありました。今は無いのかもしれないスタンダードを僕は選択。
ビッグシルエットも当時流行りで悩んでいたけど、店員さんと相談して「よりスタンダードで長く着ていただける」提案のもと、スタンダードを。スタンダードはリブがあって裾を調整できるのですが、初めはこれが嫌で。今となればあってよかった!と思うのですが、お腹がぽっこりして見える感じが当時が嫌でした。でもそういう嫌な部分も時を経てプラスの要素になることもある。
このリブも独立して縫ってるわけでなく、ボディからシームレスにつながっていて、網目が窄まって成形されており、細かいディテールも手を抜いていない。
ニットは往々にしてクルーネック部分がダルダルしてくるけれど、このリブニットは頑丈。ネック部分をぐるっと囲うように細かいリブが斜行して、本体のリブと合流している細かいディテールもおわかりいただけますでしょうか。畔編みのユナイテッドリバー。
補強しているのだろうけど、いいアクセントになっています。
飽きていた裾のリブ、着ると着丈の調整ができるのが最高です。着るとこんな感じでやや腹部に生地が溜まるつくりなのですが、気にしない。(見にくくてすみません)
このおかげでコンパクトなニットとなっています。
無造作に置いた時のドレープも良くて、そういえば、ビッグシルエットバージョンはカットオフ、裾スリット仕様だったのでこのドレープをもっと楽しめるように作っていたのかも。
あと、ダマ(ピリング)が殆ど出来ない、毛羽立ちが少ない。限界まで度詰めしているからか。なのでなめらかなニットな面構えは6年経ってもそこまで変わらず。
とりあえず一枚で着てもいいし、コートやブルゾンのインナーに差してもいい。定食のイケてる副菜みたいなはたらきをしてくれます。
キャプテンのショートミリタリーコート、通称「与作ジャンパー」との組み合わせ。今日、電車内のお爺さんがこれに似てるジャンパー着てて、僕とリンクコーデになってました。良いおじさん感。
この場合、パンツは黒やネイビーは重くなるのでベイカーかウォッシュデニムが良い。足元はこりゃあもう、シャンボードの茶でしょうね。チャコールのソックスでも履きましょうか。
やはり僕はラギッドになりすぎないヘビーデューティーなモノに惹かれるらしい。今後も汚れとかダマを気にせずガシガシ着ていきます。
※愛読書のthemが10周年。周りに媚びないモードとストリート、それにハイセンスなカルチャーをミックスしたスタイルはいつも刺激的です。
10年前の創刊号、エディスリマンのスチールがノートになって付録で付いていました。懐かしい。