90s後半のUKの空気感を色濃く感じる『トレインスポッティング』はファッション好きが誰もが通る映画ですが、ユアンマクレガー演じるレントンのブラックデニムとコンバースのコーデはオアシスやブラーと並んで90sUKのムードを語る上で欠かせないスタイルです。
あるいはプライマルスクリームのボビーや、ストロークスのジュリアンのようなロックスターのスタイル…ブラックのウォッシュドデニムは、「ストリート寄りのロック」と分かちがたく結びついています。
2007年前後、エディスリマンのDIORHOMME全盛期に登場したスキニーパンツ、チープマンデーとエイプリル77といった懐かしさも感じつつ、このブラックバードのデニムを手に取りました。
アプレッセのデニムにも言えることなのですが、このデニム、細身なのに履いてみるとストレスなく履けるんです。腰回りに良い具合のゆとりがある。
デニム生地はオイル加工がなされており、デニム特有のカリカリ感やガサガサ感がなく、なんかしっとりしている。それがバブアーのようなオイルド加工のベタベタ感ではなくて、しっとりしている。普通のデニムを煎餅に例えると、カントリーマアムみたいなサクッと感も担保しつつのしっとりなんです。
さてこのデニム。
加えて股上が深く、臍の辺りまでウエストラインを持ってこれるので、腰の位置をぼやかしている。だから脚長効果もある気がして、不思議とスタイルがよく見えます。
ヒップポケットの位置も高いから、お尻が上に見える視覚効果もあります。ウエストのパッチレザーは潔く無地。
綿100%なのになんでこんなに穿きやすいのだろう。ポリウレタンなど化繊が入ってるストレッチデニムでもないから、変に膝部分が出たりする心配もなさそう。シオタのスビンコットンみたいな良さ。
お店のオーナーさん曰く、どのような体型のひとにも会うようにデザインしているので、ワンサイズあげて緩く穿くのも良いし、ジャストサイズで穿くのも良いとのこと。BECKのライブ明けだったこともありオルタナカントリームードが高まっていた僕はジャストサイズの0を選択。
思うにウォッシュドのブラックデニムってなんか野暮ったくて今まで敬遠してたんですよ。イモっぽくなるというか、抜け感が出にくいと思い。でも最近はあれこれ決めつけずに試してみないと始まらないマインド。とりあえず買ってから。
基本的にトップスも地味なので、色の統一感はいわゆる色落ちの藍色デニムよりもあると思います。
スリッパですみません。こんな感じでハイウエスト気味になるのがお気に入り。
靴も革靴もいいけどスタンスミスやジャーマンが映える色です。
パンツって全体のスタイルを整えるスパイスでありながらも主役にもなりますよね。スキニーでもないこのくらいのスリムデニムパンツ、ありそうでなかったと思います。パツパツに腿やふくらはぎなら密着することもなく、絶妙なゆとりが確保されているから可動域も広く感じられます。
丈も短すぎず長すぎずのワンクッション。このくらいであれば、お直しする必要もない。
このデニムを履いていると、不思議とカートコバーンが亡くなってBECKが登場した90s初頭、オルタナ揺籃の時節を振り返りたくなります。なおかつオアシスまでも想起させる。
服から音楽の匂いがするんです。
2007年頃、ストロークスのアルバートがNハリの517を履いてたとかいなかったとか、そんなことも思い出しますし、ストロークスも履いていそう。
『トレインスポッティング』レントンはまだ10代だったと思うけど、アラフォーならではの、またレントンとは違ったアプローチでこのブラックバードのデニムを味わいたいです。