今年は意識的にライブに行った。かなり行った年になった思う。フェスではなくライブ。対峙する時間と濃度が違う。
①JJJ
その中でも一番好きなラッパーでありビートメイカーであるJJJのワンマンが3度もあり、すべてに参加できたことは大きかった。
2023年もっとも聴いたアルバムであり、それは2024年も変わらなかった。村上春樹の『ノルウェイの森』において、ある人物が「時の洗礼を受けていない本は読んでも無駄」という発言をしていた。KREVAとの共作『タンポポ』でZORNが「クラシックは未来永劫」と言ったように、JJJの『Maktub』は紛うことなく2020年台のクラシックになるだろうし、時の洗礼にも耐えうるだろう。リリックとビートの普遍性がそれを物語っている。Creepy Nuts、bad hopとは離れた位置にいるが、静かに現代日本ヒップホップを牽引している存在だろう。
②人生の伏線回収
宇多田ヒカルさんとトムヨーク氏、先週の倉木麻衣さんはまさに10代の頃の自分のアイドルであり、その人たちに会えたのも大きい。トムヨーク氏は何度か見ているが宇多田さん、倉木さんは初。妻が昔好きだったw-indsのライブに行ったことがとても良かった、と話してくれたので自分にとってのそれは特に倉木麻衣さんだと思い、ちょうど25周年ライブがあるとのことで購入。結論、とても良かった。25年前ガキだった私は倉木麻衣さんから離れ、いろんな音楽を聴いてそれなりの人生を送っていたが、倉木さんはその間も、25年間音楽に向き合い続けているのだ。宇多田さんもそうだが、まず25年続けてくれてる、それに感謝。決して良いことだけではない。そこが感覚的に理解できたのも良かった。あの頃の曲が流れるたび、何とも言えない感覚が甦ってくる。プルーストのマドレーヌ体験的なものをずっと体感して、最後はひたひたのマドレーヌ状態だった。
③海外アーティスト
コロナ禍以降、堰を切ったかのように海外アーティストの来日が立て続いている。
年初のslowdiveは序章に過ぎなかった。
4月のbeckはアコースティックセットで、11月のトムヨークと似ていたし、Nas やJorja Smith はほとんど最前で見ることができたのも迫力があって記憶に強く残っている。
来年もIdles、DJshadow、New order、Jack White、oasisと決まってるのだけでも目白押しすぎで、字面だけでクラクラする。ちょっとライブも自重しないといけないなと思っているけれど、短い人生のなかで好きなものはやはりできる限り見ていきたい。それを我慢して貯金した数万円は走馬灯には現れないが、あの時のJJJやNasやJorjaは俺に微笑んでくれるかもしれない。
④BMSG
妻とデビュー前から応援し続けているBMSGのアーティストたち。個人的にはやはりJJJの楽曲も手掛けているKMや、ヒップホップにおいて絶大な信頼を誇るChaki Zuluもビートを提供している点において私は支持している。SKY-HI氏の慧眼とセンスと目指すべき明確なビジョンとミッションがあるから、推せる。
ライブは良い。開放感と緊張感がないまぜになって、高揚感が生まれていく。何よりもライブに行くことが「俺はあなたを応援しているぜ」の存在証明となる。これからもまだ見ぬアーティストとライブの高揚感を感じるのが楽しみでならない。