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get ready

ファッション/アウトドア/音楽/ミニマリズムなど

登山は非日常体験ではなく、日常の延長線上に位置するものである

MOUNTAIN/RUN

ウルトラライト登山について前回書いた。そこでウルトラライトはミニマリズム・ミニマリストと親和性が高いと仮定した。極限に荷物を軽くすることで、一歩でも先へ進めることは確かにULの魅力ではある。しかし充実した楽しい登山って、そういうところじゃないんじゃないか、って思い始めた。直観的なのだが、ウルトラライトって荷物が少なすぎて落ち着かない。髭剃りも持っていかないし手かがみもないし、ギャッツビーの汗拭きシートもないし正直寝る時は枕も欲しいし、軽くすることで全ての道具のグラムに繊細になり、色んな犠牲を支払うのは、結果的にものすごいストレスになることに気づいた。俺には無理やなと。枕ないと私は寝れないし寒い時は出来るだけあったかい服で過ごしたいし髭だって剃りたい。いろんなものを犠牲にすると、日常の自分から離れていく。それが気持ち悪い。そこで私は登山をする中で、ひとつの仮説を立ててみた。

<登山は非日常体験ではなく、日常の延長線上に位置するものである>

この仮説によって、より親密に登山をとらえ直すことができるようになった。私はいつも無彩色の服をきている。職場でもシャツにスラックスに革靴でいるので、そういう服装が一番落ち着くし、集中できるし、何よりもしっくりくる。加えて私はハードコンタクトレンズ着用者なのだが、絶対にメガネで外に出ることはない。メガネで外に出ることは、髭が伸ばしっぱなしで髪もねぐせだらけの状態に限りなく近い。ノーメイクの女性とほぼ同等の意味を持つ。髪だってできれば整えたい。朝起きて顔を洗い、髭を剃り、化粧水をつけ、たまには乳液や日焼け止めも塗り、整髪剤をつけ、コンタクトをつけ、歯を磨きシャツを着て、スラックスを履き、磨いてある革靴を履く。そのひとつひとつの所作が好きだ。

だから正直、旅行でもたとえ登山でも、限りなくそれに近い所作をこなさないと、普段の自分が発揮できない。服装にも同じことが言える。地味な服ばかり着ている者が突然派手な原色を着ても、落ち着く人は良いと思うけど私はまったく落ち着かなくなってしまってモチベーションがすごく下がる。

そもそもコットンやウールなどの天然素材が好きなので、困ったことにナイロンや化学繊維を身に纏っていることだけでもちょっとだけ落ち着かないのだ。日進月歩のアウトドア業界は、毎年面白くて役に立つアイテムを消費者に紹介するけれども、一方で日常着をさらにカジュアルにした派手な配色やデザインが多いような気がする。私はそのような派手なデザインを纏うことで非日常を演出する作用は、縁日に浴衣を着たりハロウィーンでコスプレを着たりする所作に結構近いんじゃないかと思う。なのでできれば革靴にスラックスにシャツにジャケットで上りたいんだけど笑、そうすると雨とか色々やばいので、それに近づけるように何か工夫できないかなあと考えるようになった。「クラシック登山スタイル」とでも言えようか。まず思い浮かんだのは『劔岳ー点の記ー』での浅野忠信や松田龍平、仲村トオルの服装。相当クラシックだ。

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マッキントッシュみたいなロングコートの時点でオイオイと思ったのだが、それにベージュのワークジャケット、シャツにネクタイ、スカーフ、ハット...コレで日本最難関の劔岳を目指してる時点で相当ヤバい。左の弟子みたいなひとのファッションもイケてる。チャコールグレーのミリタリーっぽいジャケットにいかにも重そうな鉄の水筒、コットンの手提げバッグに黒のキャスケット。いいんだけど、この二人はちょっと行きすぎやな、と。

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この浅野忠信もただのクラシック。昔はこういう服装で上っていたのか、と。今とはかけ離れているけど、かっこいい。現在の最先端と、こういうクラシックをうまくミックスすることができないか。

自分が一番落ち着く格好が、一番パフォーマンスが上がる

と感じる。そういう意味で、非日常性はあまり登山で出したくない。登山用に買ったもの、ではなく、普段使っているもので出来る限りまかなうことが出来ればよい。とりあえず、登山に日常を持ち込むのはナンセンスであるとはわかっていながらも、自分にとって最高のパフォーマンスにするために、ウルトラライトという思想から少しずつ離れながら、「いつもの自分」をどれだけ「登山」に近づけることが出来るか、これから試行錯誤していきたい。仲村トオルばりの服装は無理にせよ、クラシカルなシャツを取り入れるだけも、ぐっと日常に引き寄せられる気がする。シャツもコットン100%ではなく、吸汗速乾素材の登山用シャツがたくさん出ている。そのなかで自分の好きなものを選べばいい。日常の延長線上に登山やアウトドアを見据えることは、あまり雑誌等でも喧伝されていない。アウトドアブランドはどうしても派手でデザインがあまり優れていないものを作りがちだからだ。私がアウトドアにまだ疎い部分もあるが、様々な要素のなかで普段の自分の要素を登山に接続できるか否かが、今後の課題だ、と自分の頭の中で想像していた、というお話でした。