あえて過去のシーズンの服をネットで渉猟し、購入を続ける友人を見て、僕は彼を「物欲のマザーテレサ」と呼んでいます。僕も置き忘れた季節に後悔のないよう、物欲のバックトゥーザ・フューチャーを志向すべく、ネットの物欲の海にダイブしたのでした。
すると、昨年COMOLIから出ていたシープスキンG8ジャケットが妙に目に留まり、それからというものの、寝る前に毎晩G8が頭から離れず、居てもたってもいられず購入。
さて、G8というのはよく知らなかったのですが、本格的な蘊蓄はLightningとかのミリタリー本に譲るとして、ライトな説明を。これはアメリカ海軍(US NAVY)が1950年代から使用していたものらしく、本来はナイロンが主流らしい。そしてなんと言ってもレジェンドスケーター、マークゴンザレスがそのアイコンとして着用していたことも手伝い、「ゴンズジャケット」とも呼ばれるように。
supremeのカレッジロゴスウェットを合わせていて、NYストリートのムードに溶け込んでいます。
そう、このブルゾンは万能なんです。ドレスにもストリートにも、アメカジっぽくも振れる。小森さんのレシピによってシープスキンの面で生まれたこのG8は、ミリタリーブルゾンなのに品がある。ライダースしかレザーは買ったことがなかったけど、こういうブルゾン系のレザーって最高なんです。
よい点①
立ち襟である。いわゆるバラクータのG9的に首元までリブが立っています。リブはウール100%で違和感なし。風の強い春先は首をガードできて良い。寝かして着ても良い。バラクータは寝かせないとネックがブラブラするから苦手なんですけど、これはブラブラ部分をボタンとチンストラップで収納できるんです。僕はバブアーもユーゲンのウィンストンというブルゾンも、チンストラップで首元を高くできる服が好きなので、加算点。
そしてジップはもちろんriri。というかこのぐらい高い買い物でジップ好きとしてririでなかったら悲しかったです。いや、ランポとかラッカーニでも良いんですけど、僕はやっぱririが好きなんですよね。ムシ部分含め、ブラスのような銅色に黒の塗装がなされています。塗装が剥げていくのも楽しみ。
良い点②着丈が短く、サイドポケットがある
どうやらCOMOLIの G8はオリジナルよりもやや着丈を長めに調整しているようですが、それでも裾のレザーリブのおかげで着丈調整ができます。
胸ポケットもマチ付きが二つ、左腕上部に小さいポケットが一つ。
あと袖のリブ。よく見ると編み方が2段階になっています。この窄まっていく感じが良いです。もちろんリブ部分もウール100%。
この画像でシープスキンの雰囲気も伝わるでしょうか。微細なシボ感があり、鈍い艶を出してくれます。そしてディアスキンなみに柔らかく、触っていて気持ちいいです。
良い点③
肩の切替がかなり深く、着やすい。そして軽い。
レザーって普通重い。だから着たくなくなったらするんだけど、このシープスキンは軽い!それにまず驚きます。まるでレザーの面をしたジージャンです。中は全面光沢のないシルクで、腕通しもしやすい。そして両方にかなり深く肩の可動域が確保されています。ここで悪い点なのですが、この肩のヒダが結構ドアとか突起物に引っかかる恐れがあり、それが怖いですね。
バックショットはシンプル。
さて続いて僕が考えたコーディネートを紹介します。
自分が良くする合わせとして、メリノウールのハイネックニットにアナトミカのベスト、というのがあります。それに合わせました。ニットは無印。それだと綺麗すぎるのでアプレッセのストレートデニムを。普段のスタイルなのですが、G8はゴツゴツしすぎず、なおかつ中にゆとりもあるためこのくらいでも余裕があります。足元は黒のシャンボードか黒ゴアのワラビーです。
こちらはテアトラの超軽量タートルネックニットにCOMOLIのレーヨンオンブレーチェック。なんとなく昔のナンバーナインっぽい匂い。下はベイカーでも良かったのですが、シオタのチノを合わせてワーク感を出しました。足元はスタンスミスかジャーマントレーナーで軽さを出すといいかもしれません。
こちらはドレスのタートルネック。3コーデ全てハイネックなんですが、それだけ好きなんです笑
結構ド派手な色なんですが、上着があれば良いかと。なんとなくストリート要素が強めなので、下はCOMOLIのパイプドステムのコーデュロイパンツを。このコーデュロイはフレアっぽいシルエットなので、どことなくヨーロッパなムードが出るんです。
オレンジ×ダークブラウンなので靴はシャンボードの茶色です。持っているならスエードのローファーとかスエード系が似合うスタイル。ハットがあっても良いな。
時計は全てロレックスのエクスプローラーです。
合います。が、ただの時計に過ぎない。主役ではない。Xで腕元のみ投稿するロレックスドヤ顔風情ではないです。
ということで、G8ブルゾン、けっこうジャンルレスに楽しめるので自分の想像も膨らんで楽しいです。これがファッションの楽しみなんだよな、と最近思えて嬉しいですね。まるで新しいおもちゃを与えられた子供のように楽しんでます。COMOLIが提案するスタイリングとは違った、自分の好きなアメトラやカントリー、ドレスに引っ張ってきて、いかにチューニングするのか。その作業が楽しいです。ゴンズとコモリを消化しつつ、この1着で周りの服をどう活かすか、嬉しい悩み事がまたひとつ増えました。
問題としては生地があまりにも柔らかく繊細なので耐久性は心配があります。枝に引っ掛けてしまったら裂けてしまうというか笑 でも気にせずガシガシ着ていきたいです。
あ、何度も言うように「大人が買うべき」とか「一生モノ」とか「大人の色気」とか一切そういうのはこのブルゾンに対して無いのです。ただの普段着のひとつが加わった、くらいのマインドで羽織ってきたいです。