つよい ポケモン
よわい ポケモン
そんなの ひとの かって
ほんとうに つよい トレーナーなら
すきな ポケモンで
かてるように がんばるべき
ポケモン金銀をやったことある人なら誰でも知ってるこの名言。そのころの僕らと言ったらいつもこんな感じだった。フリーザー、サンダー、ルギア、ミュウツー。伝説ポケモンばっかり使ってカリンを義務的に倒しミニリューのレベルを上げ、カイリューへの進化に腐心していたものだ。結果、カリンの上記の名言をスルーしていた。カリンかっこいいとか思いながら伝説ポケモンばかり使って悦に浸る凡庸なガキだったのだ。
違う、そうじゃない。
アラサーに差し掛かって、カリンの名言が心に響くことが増えた。ポケモンの偉大さと驚くべき発明のひとつは、決してポケモンの強さが人気に比例していない点だ。ピカチュウなんか初代の頃は脇役も脇役だった。しかしふたを開けてみると、実質バトルでたいして強くないモンスターにこそ、人気があったりする。このへんの戦略がうまい。そしてこの名言は、なんでも置き換えることができる。
かっこいいウェア
かっこよくないウェア
そんなのひとのかって
ほんとうに服好きな人なら
すきなウェアで
お洒落できるようにがんばるべき
なんとなくオリジナルとは意味のズレがあるが、そこは気にせずにいうと「自分の好きなものを貫け.」ってことだと思う。
だが、これはポケモンには適用できるが、服には適用できない。なぜなら、
好きな服と似合う服は違う
という命題が立ちはだかっているからだ。それでも好きなものを貫き通せる覚悟があればかっこいい。ただ、似合わないものは似合わないのだ。その点においてカリンの命題はここだけは通用しない。
ヴェトモンやラフシモンズに傾倒していたので自然とMA1が欲しくなって、昨年(2015年)から続くMA1の脅威的な流行りに遅ればせながら乗っかる感じにはなってしまうけど欲しいなあと思っていていろいろ着てみたんだけど、まあ似合わない。
全体的にガキっぽさが加速してしまって地方の田舎にいるイモ野郎みたいな風体になってしまってどう見てもかこよくは見えず、苦笑してしまう。
リックオウエンスやサンローランのものならばよく見えるのだろうが、そこまでの余裕はない。おそらく身幅と肩幅のイカり具合が不釣り合いなのだろう、短い着丈もあいまって、絶妙な中途半端さを演出してしまった。まだ似合うMA-1に出会ってないだけかもしれないが。
ミリタリーはいつでも流行と隣り合わせだ。またカーキやオリーブ、コヨーテみたいな色を街でよく見かける。特に女の子。
女の子とMA1というギャップの時点でなんかもう許される感はあるけど、男はムズイ。MA1に白のタートルネックに黒ロングブリムハットなんか被ったときにはもう、ミーハーの極北にいるといっても過言じゃなくなる。
出、出た〜〜wwwキャップにチェスターコートに白タートルネックにスキニーにニューバランスにリュック奴〜〜wwww
となってしまう。一時期の青いシャンブレーシャツにベージュのチノパンが大量発生したように、テンプレートに合わせた量産型は定期的に群生する。私は職場がその群生地に近いこともあり、より若者の服装を見て実感するのだ。似合う似合わないの問題じゃない、と。
マルジェラのクルーネックニットが大量発生して流行ることはない。単に高いからだ。思えば大学生のファッションはとても難しい。ルールがまず何もない。何を着てもいい。スーツを着ればいいというものでもないし、上下スウェットの人もいる。全てが許される無法地帯なのだ。
かくいう私も大学生時代は黒パンに適当なトップスを合わせる地味な服装だったように思う。今のような量産型テンプレートファッションはなかったように思える。あるとしたら半袖にベストか。あれそのものがダサい訳ではない。Tシャツというカジュアルアイテムにベストというドレスアイテムをミックスさせている時点でバランスは良い。ただしそれが大量発生し、オリジナルを凌ぐ勢いでテンプレート化されるからダサくみえるのだ。
実際エディスリマンとかジョニーデップとかTシャツベストやってた記憶があるし、ナンバーナインの07ssあたりはそういうファッションだったと思う。
それはそれとして、そのもの組み合わせ自体の本質はダサくないのに、人口に膾炙するとダサくみえる現象をなんと呼べばいいのか。
7分丈パンツをよく履いている相葉雅紀をリスペクトしてか「相葉丈」なんていう言葉も「ひみつのあらしちゃん」のマネキンコーナーで耳にしたけど、あれは相葉ちゃんがやるからかわいいのであって俺がやったら本末転倒に「ぼくのなつやすみ」状態になってしまう。なんともいえない。
さて、話が蛇行しまくっているが、冒頭のカリンの言葉。すきなポケモンを使うのはかっこいい。そこにポケモンの最大の価値がある。ドラクエモンスターズもポケモンを意識して作ったものかもしれぬが、強いモンスター至上主義っぽくて、可愛げがない。
アニメをみるともっとポケモンを好きになる。「バイバイ、バタフリー」の回を見てバタフリーという雑魚ポケモンがとても愛おしくなった人も少なくないだろう。そういうマイノリティーをピックアップしてリスペクトしていく姿勢、ファッションにも通じる部分がありますね。という序破急にしたら急すぎるまとめ。
【2022.12.16追記】
この記事が当ブログでかなり読まれているようで、6年半も前の記事なので古くも感じますが、自分が好きなモノに自信を持って服を集めていく、それを使い続けていくことについては今も変わりません。
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