get ready(30代男の物欲と服ログ)

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SNSによる服装やインテリアの同質化問題

 

インスタの功罪ってデカいですよね。

ふとインスタを見ていると、アルゴリズム的にレコメンドされる、インスタグラマーたちの服写真やインテリア写真。

服だとコモリ、アプレッセ、インテリアだとリーンロゼ、パンテラポータブル、ブルレックのポスター。こういう情報を見て慄然とするのが、無意識のうちに自分もこういう刷り込みがなされているのではないか、ということ。ブレードランナーやマトリックスやトゥルーマン・ショーの世界。

美容室でしか見ないタブレット版ウオモをペラペラ捲ると、タイガタカハシや今メンズアパレル界推したいアンライクリーなど、ほぼ包摂されています。

もはや、「それ以外の領域」は見つからないほどウオモの取り扱いは幅広いです。

ポパイも読まないし全く買わなくなってしまいましたが、ウオモやポパイなどを見ることで、「何が掲載されていないのか」を逆説的に知ることができます。反面教師として。

コモリ、オーラリー、アプレッセ、ユーゲン、ヘリル、この辺は否が応でも載っているのがわかりますが、一方でオアスロウやフィグベル、ビズビムやアナトミカなどのワーク系など「今っぽくない」ものは載らない印象があります。

インテリアもリーンロゼは愛されていますが、カリモク60のKチェアなどはほぼ見ることはありません。インテリアのインスタ女子というのはかなりテンプレ化されています。

まずは届きやすい値段帯にあること。だからこそ25万円のリーンロゼやパンテラは要請される。

例えばFlosでいえば3万以下で買えるグルチッチのメイデイはインスタ界隈どこでも見ますが、アナスタシアデスのlast orderは10万近くするのでほとんど見ない。つまり買いやすい価格レンジの商品というのは限られており、そこでの品数が、洋服と比べて家具は圧倒的に少ないため、同質化が起こってしまうのです。驚くべきことにブルレックに至っては、ポスター以外のブルレックの家具を置いている人達はほとんど見ることがありません。

加えてファッションインフルエンサーの多くは服のみにお金を注いでいるため、せいぜい100万以内でインスタ費用は賄えるでしょう。これがインテリアだとそうはいかない。これは私の偏見ですが、ファッションインフルエンサーの部屋紹介などを見ることがあまりないのは、そこにお金を注ぐ余裕が殆どないからではないでしょうか。TikTokをやっている若い子の部屋紹介など見たことがない。というか、TikTokをほぼ見ないのですが…

 

SNS時代にあって、我々はどのように服や家具を選べばいいのでしょうか。自己啓発本しかり、どこの誰なのか、何者かもわからない者からの一般市民の影響が強まったのがSNSだとしたら、それを拒絶するのではなく、逆に、彼らに没入していくことで、その考え方をトレースし、その彼らの思考を内側から食い破るような思考と選抜はできないのでしょうか。

ルイヴィトンやディオールのバッグをバカにするわけでもなく、シュプリームはステューシーを、バブアーやラベンハムを、それぞれを等価なものとしてアンサンブルさせていく営みと、そこに敷衍しているカルチャーに敬意を払うこと。家具で言えば、闇雲にバウハウスを称揚することなく、そこで開花した芸術運動と、そこから広がりゆくモダニズムの脈動に耳を澄ますこと。

何が流行っていて、何が無駄で何が大切か。

それぞれの投稿や思惑に辟易しシャットダウンするのではなく、そこでいま何が起きているのか。自分もその内部に包摂されている人間だという自覚を持てつつも、肥大化する現代社会の鬼子、インフルエンサーと呼ばれている彼らの動向をつぶさに観察していきたいと思います。