2016年に裏原ブームを回顧する記事を書いて、それがよく読まれているようです。
2021年現在、2010年代後半の裏原ストリート再燃ブームもやや落ち着いてきているように感じます。2016〜2018年くらいにかけて、SupremeやカニエウエストのYEEZY、バレンシアガのトリプルAなどストリートカルチャーが15年ぶりくらいに再燃しました。それもラグジュアリーストリートとして。
それは今でもOFF-WHITEーLOUIS VITTONのヴァージルやDiorのキムジョーンズに継承されているし、元SupremeのチームだったOAMCのルークメイヤーが JIL SANDERを手がけているのも象徴的で、もはやストリートとラグジュアリーが混交してしまったのが2010年代後半から現在であると言っても過言では無いでしょう。
そして特筆すべきは、ヴァージルもキムもルークも、みんな藤原ヒロシチルドレンということです。要するに現代のモード=ラグジュアリーストリートは、当時の裏原、特に藤原ヒロシに憧れていた海外のキッズが大きくなって牽引しているということ。OAMCがFRAGMENTとコラボし、キムがエアジョーダンや空山基とコラボする。古き良き2000年代前半の裏原カルチャーのフレイバーがそこかしこから匂ってきます。
つまり、まだ裏原系は死んでいるわけではなく、むしろ現代の最先端のモードの核心部分に潜んでいるのです。そしてこのゲームに影響を与えている巨人こそ、藤原ヒロシに他なりません。現にまだ10代の頃単身でロンドンに渡り、ヴィヴィアンウエストウッドと交流をしていた、マルコムマクラーレンと交流していた藤原ヒロシのセンスの源流はアナーキズムやパンクです。セックス・ピストルズ、セディショナリーズを経由し、アンダーカバーのジョニオさんとの企てAFFAはもしかしたら藤原ヒロシの思想の本質的部分だったかもしれません。
藤原ヒロシの本質に迫るには、この本がおすすめです。川勝さんの濃厚編集。
ところで今の私は今COMOLIなどベーシックな中にミリタリーを感じさせるものに弱いです。ジョンスメドレーなどの上質なハイゲージのゆったりとしたニットに、ミリタリーパンツ(ベイカーやウエポンチノ)を合わせるスタイルなど最高の好みなのですが、それはもはや90年代初頭の藤原ヒロシそのものなのです。
あまりメディアに登場しなくなった今でも圧倒的な影響力を持ち、元裏原キッズだった海外デザイナーのアイドルでもあることによって2020年代になってもその存在感を失わない藤原ヒロシ氏。10年以上前私も藤原ヒロシに憧れて本も2冊買っています。
もしかしたら川久保玲氏を凌ぐほどに影響力がある日本人ファッションアイコンかもしれません。
ヴィヴィアンウエストウッドが存命のうちに、ぜひ藤原氏にはコラボレーションをして欲しいと思っています。
藤原ヒロシの愛用品をまとめたこの一冊も、通ならずとも目を通していただきたいものです。