get ready(30代男の物欲と服ログ)

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そもそも本当に「モノ消費からコト消費へ変化した」のか?

渋谷. CONTAX T3



兄がNYに住んでいるのですが、NYに久々に行きたいなと思ってANAで調べたら、夫婦の往復で航空券サーチャージ込みでおよそ80万弱もするんですね。びっくりしました。そこで5日くらいホテルに泊まってご飯食べたりしたら余裕で100万は超えるでしょう。コロナ禍、ウクライナ戦争における原油高など様々な要因があるかと思いますが、とにかく庶民の私でも気軽に海外旅行に行きにくくなっていることに軽くショックを受けました。

ここ数年、「モノ消費からコト消費へ」というワードをよく見聞きします。ですが、本当にそう単純に変化しているのでしょうか?

https://ecwork.jp/3713#i-4

当然のようにメディアなどは「なぜモノ消費からコト消費へ変化したのか?」を問いただします。

唐突ですが、ここで少しだけ社会学的な話をしたいと思います。

「なぜ」という問いは、そもそも問われる対象が自明のものであり、実存しているかのように取り扱われます。言い換えれば「なぜ」と問うことはその問われるものが正しいと表明していることと同義であり、「モノ消費からコト消費へ移行した」ことが正しいとされます。

しかし、本当にそうでしょうか? こう思ってしまうのも私がかつて社会学徒のはしくれだったからかもしれません。それに対して社会が実態として存在しない、つまり社会が多元的ー複数的に「構成/構築」されたものであると認識する立場=社会構成主義の立場があります。この立場に立つと「なぜ」という問い自体が問いとして立脚され、「いかにして可能か?」という問いに変換されます。

閑話休題。

つまり「コト消費はいかにして可能か?」と。

一概にモノ消費が衰退し、コト消費が流行っているなんていうのは野暮でしょう。現に私はロレックスや服にいまだにのめりこんでいるし、男っていうのは収集癖だったりモノへのこだわりや執着はすごいものがあると思います。

上記の記事においても「成熟した消費社会では商品のコモディティ化がすすみ、アクティビティなどの体験を重視するようになった」とあります。

https://togetter.com/li/1935332

この記事では「経験はお金では買えない」とありますが、案の定、「経験させるにはお金がかかるんや」という反論がいくつも寄せられています。ピエールブルデューという「文化資本」とかいう貨幣以外の価値を資本として定義した社会学者もいますが、「文化資本」はピアノとかのお稽古ごとやインターナショナルスクールに行って習得したバイリンガルなどがあてはまります。これって、すべてお金があればできる経験なんですよね。

冒頭に戻りますが、いまニューヨークにお金がなくていけないなー、と私が思ってもスイスイ行けちゃうお金持ちな方々もいるんですよ。あとブルデューは親からの遺品とか遺産も文化資本って言っていました。だから私のロレックスもいつか遺産としての文化資本になるし、モノもコトも文化資本という名のもとにはイコールになります。

私的にはモノを語るブログをやっているし、登山というアクティビティもコト消費に見えて実はギアに価値を置いてるモノ消費。とくにUL登山なんて、ULたらしめてるものなんてギアですからね。それぞれのアクティビティ=コト消費に対して確実にモノ消費が紐づいていて、それは分かちがたく結びついています。キャンプだってそうだし、スキーだってそうなんです。だからゴールドウインやスノーピークの純利益が過去最多になったりする。

「モノを売る時代は終わった」のでしょうか? いや、決してそんなことはないと思います。社会について「こういう傾向がある」という主観は、ひろゆき的な「それってあなたの感想ですよね」で終始してしまうし、それは社会学の課題とも言えます(だからこそ参与観察=フィールドワークや統計など、「社会」を記述するための方法論が多数あります)

7年ブログをやっていますが、いろんなモノを買ってきました。そしてこのブログでもいろんなモノを紹介してきました。しかしそれが全て無駄だったわけではなく、その蓄積の上に今私は立脚しています。私はどうしようもなく物欲があるし、それはそう簡単には消えて無くなることではありません。巷で流行っている・流行っていたFIRE的な生活は、そのような俗世的な欲望をすベて捨象し、「収入ー支出」の最大化を第一原則とするマインドを持った活動です。私はおそらくFIREするために全てを禁欲することはできないでしょう。FIREはマックスウェーバー的に言えば現代版「プロテスタンティズムの精神と資本主義の精神」とでも言えるでしょうか。モノを買うこと事態が忌避され、良しとされないのだとしたら、私にとって仕事をして生きていくこと自体のメリハリは無くなってしまうでしょう。

やはり執拗に私はモノやギアに拘泥していきたいし、それを少しでもみなさんと共有させていただくことができれば、とても嬉しいと思っています。

今日の話をまとめると、

コト消費もいいんだけど、結局コト消費にはモノ消費のビジネスが紐づいているし、物欲って最高だよね、っていうことでした。

今年も物欲買い物リストは立てたけど、プランを崩して色々買っていきたいと思います笑