山に登った翌日に、オペラシティギャリーで開催されている和田誠展に行ってきました。
和田誠さんといえば私にとっては村上春樹氏の書籍イラストが印象深く、
あるいは「和田誠」という固有名すら知らずに小学生低学年の頃読んでいだ『これはのみのピコ』
などが挙げられます。
その他も多岐にわたる広告、ポスター、週刊文春の表紙など手掛けており、その膨大な展示数にまず圧倒されます。マザーグースや星新一作品も有名ではないでしょうか。
映画のポスターも、現代にないような独特の色彩で味わい深いものに仕上がっています。
何枚も羅列されると、まるでウォーホルのポップアートのようです。
特に圧倒的だった週刊文春の表紙シリーズ。
そして和田誠さんといえば、抜け感のあるフォント。このフォントが私は大好きです。
フィッツジェラルドの『グレートギャッツビー』、フォントも絵も和田誠さんです。
『ポートレートインジャズ』でもおなじみですが、レコードも。思わず欲しくなってしまいます。
音楽や演劇のポスターも数多く、どれもハイセンスでした。
24歳の頃にすでにタバコ「ハイライト」のデザインをしていたという恐るべき才能…
和田誠さんはカッコつけすぎないカッコよさというか、抜け感がとてもあるのにどこか「スタイリッシュ」なところがあって好きです。安西水丸さんにも通じるものを感じます。
大人向けだけではなくて、子供にも親しみがある作品を届けられるって凄いことですよね。宮沢賢治の注文の多い料理店も手掛けてらっしゃいますが、まさに賢治的な「大人と子供の往還」みたいなセンスを感じます。
現代では長場雄さんも、もしかしたらその「抜け感のあるイラスト」の系譜に入るのかもしれません。とにかく色彩と抜け感がもたらす独特の「あったかさ」と、それに相反する緻密な構の「クールさ」に刺激を受けた展覧会でした。12/18まで開催しているようです。