get ready(30代男の物欲と服ログ)

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「NGファッション」言説に思うこと

 

 

四千頭身というお笑い芸人の都築さんが、とても興味深いYouTubeを上げていました。

服好きの人間が絶対許せないNGファッション!! - YouTube

「こんなファッションはNG」

というタイトルですが、このタイトル自体が巧妙な釣りになっており、ここで都築さんが言わんとしているのは、「「こんなファッションはNG」と言っていること自体NG」ということです。私はこれに全面的に同意しました。

 

最近、「NGファッション」という用語をちらほら散見するようになりました。YouTubeで検索すれば沢山ひっかかります。

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「NG」による弊害とは、どうやら「おじさんに見える」ことや、「非モテ」のようなことらしいです。

このブログでも何度も取り上げていますが、スーツには正解しかありません。シャツ、ネクタイ、黒やネイビー、チャコールの靴下に革靴、革のベルト。いわゆるドレスコードが決まっており、それを破ることはNGとされています。

一方でその他、90%の男性服は「カジュアル」に属します。つまり、正解はありません。

 

何を合わせたっていいのです。そこにその人の信念やポリシーがあれば、「ダサい」とか「NG」とかは存在しない。私はそう思っています。だからこそファッションは楽しいし、正解もNGもない、自分を着飾る楽しみがあります。

「おじさんに見える」ファッションをあえて私は志向していますし、モテるために服が好きなわけでもありません。

雑誌やYouTubeではやはり「こういう服を着た方がいい」ことを勧めてくるため、「量産型」と呼ばれる服装が登場します。

私が大学生のときは水色シャツにチノパンが大量発生しました。ひとつの現象であり、それを否定するつもりもありません。

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思うにこういうYouTubeや雑誌に影響されるのは、「女子にダサいと思われないだろうか」「おじさんぽく思われないだろうか」と不安に駆られる方々かと思います。

自分を良い方向に変えたい、というマインドセットは素敵なことだと思います。

ですが、「おしゃれ」「ダサい」という数値化・見える化できない価値観がファッションを支配しているのは、逆にファッションというもの自体を拘束してしまっているような気がします。

コムデギャルソンの川久保さんや山本耀司さんのように、ファッション自体を脱構築して、新たな価値観を提示してきた日本のファッション文化がある一方、就活のリクルートスーツに代表される「右ならえ」の性質、「決められたレールの上を行き、はみ出さない」ことを美徳とするマインドが根強く残っているのも日本でしょう。

話を頭に戻すと、スーツにはNGルールはありますが、それ以外のカジュアルの領域では何を着てもOK、NGファッションなんてありません。

服=ファッションは1人では成り立つことはなく、確実に他者の目線を介在して初めて成立します。四千頭身の都築さんがいうように、「教科書のように決まりや正解がある訳ではないのに、何かにかこつけて「これはダメ」「あれはダメ」と言ってしまう」のは、ファッションの楽しみから遠ざける根源になってしまうのではないかな、と思ってしまいます(二度目)。

 

さらにこの「NGこそNG」と言ってしまう二重否定、メタ的な態度もNGの対象になりうるわけで、これも「NGといっていること自体NG、と言っていること自体NG、と言っていること自体…」と堂々巡りになってしまいます。

 

自分にとってファッションは心を動かしてくれたりワクワクさせてくれたりするものです。

自分が好きな服を自分が着る、そのことに対して自分を楽しんでいきたいし、それが目的なところもある。

押し付けがましく、「これ以外は認めない」的な態度を取らず、カジュアルなファッションはそれがカジュアルである限りにおいて等価であり、優劣が付けられるものではないだろうな、と思った次第です。